『にじのわ』のレッスンの中で、私がくどいくらいに「腰が抜けてる!腰を入れましょう!」と言ってますよね。
抜けてる人はまず、抜けてることに気づいてません。
そして、どうしたら腰が入るか感覚的に分からないのでできません。
「ああ!」
これは現代人の特徴的な傾向であります。
昔の人はその感覚がわかっていました。
というか、できないと生活しづらかったんです。
今は便利になったり欧米化したりして、武道を習ったことのある人以外はわかりづらくなってきました。
私は腰が入りすぎちゃって反り腰になっちゃうので、それもまたよくないんですけどね。
腰が抜けていると、力が入らないんです。
重いものも持ち上げられないし、バランスが悪いので歩いていてもすぐ疲れちゃうし、立ってるだけ、座ってるだけでも疲れちゃうんです。
いわゆる「腰抜け」です。
「へっぴり腰」とか「逃げ腰」、「腰くだけ」なんていう言葉もありますよね。
「弱腰」に「および腰」、いろんな言い方があります。それだけ大事だったんです。
なぜか。
体幹がしっかりして、腰の位置が決まらないと力が入らないだけでなく、精神的にも安定しないからです。
「腹が据わる」、「肚(はら)が決まる」、「腰を据える」というのは動じない安定感を意味する言葉ですよね。
「肝っ玉」なんていう言葉もありますが、肝臓も腹の位置にありますね。
心と体は切っても切り離せない関係にあるということを、昔の人は感覚として持っていたのでしょう。
だからこんなにもたくさんの表現が生まれたのだと思います。
武道を習うとわかりやすいですが、昔の人は着物を着て膝を曲げて小股で歩いたり、正座して食事をしたり、様々な生活の所作からその感覚を磨き、実践していったのです。
でも今は…、背もたれのある椅子に寄りかかってパソコン作業したり、ソファにだらーんと座ったり、ハイヒールでかかと重心で歩いたりなど、生活様式が変わりました。
はっきり言って、日本人と西洋人の骨格や筋肉のつき方は全然違うので、たとえかっこよくても真似をしたら無理が生じます。
西洋人は腰の位置が高く足も長いし、筋肉も発達しやすいので、ネクタイやスーツ、ウエストの位置が高いドレスやハイヒールが似合うし、そういう服装がスタンダードになってきたんです。
日本人は、着物に帯、下着は褌です!下っ腹で締めますよね?
洋服はどうしても重心が上がってしまいますので、和服の方が日本人の体に適しています。
そして真っ直ぐ立っているつもりでも、ただ上に引っ張られてるだけで上半身が緊張してしまんです。
そうなるともう腰に力は入りません。
といっても、現代においてずーっと和服で生活するのも環境が整っていないと難しいと思うので、例えばお風呂上がりは浴衣で過ごしてみるとか、そういったこと試してみるのもいいと思います。
旅館に泊まったときはみんな浴衣を着るじゃないですか。そんな感じで。
帯や褌で下っ腹を締めると、意識がそちらに向かうので簡単です。
日常のちょっとした工夫から、地に足をつけた自然体を保てるようになると、とっても楽になりますよ♪
背筋を伸ばして上に伸びる意識も大事ですが、同時に、しっかりと両足で大地を踏みしめる意識、グラウンディングも大事です。
「地に足がついている」を英語でも、Down to earth! と表現するのが面白いですね。